進行がんに対しては薬物治療や放射線治療をしてがんを小さくした上で手術をする「術前導入療法」がおこなわれることがある。外科に加え、内科や放射線科などによる集学的治療が実施されていることは、あらゆるタイプの肺がんに対処できる指標になると考えられる。

「肺がんは、発見された時には進行していることも多く、手術できるのは肺がん全体の約3分の1程度。進行がんに対する肺がんチームでの治療は重要です。一方、早期がんに対してSBRTを実施していることは、高齢や持病などにより手術ができない人にも対応できる、幅広い治療の選択肢がそろっている目安と考えていいでしょう。また、新たな治療薬を導入した場合、予期せぬ副作用が起こることも考えられます。副作用の症状や対応法をきちんと説明してもらえるかどうかも重要です。説明がない場合は、確認してもいいでしょう」(池田医師)

 肺がんは高齢者に多く、ほとんどの患者ががん以外の持病を抱えているという現実がある。そのため、「肺がんの治療に加え、持病の治療や管理ができることも病院選びの重要なポイント」と奥村医師は話す。高齢者の手術が多い病院は、持病や術後の合併症に対応できる態勢が整っていると考えられる。

 また、術後死亡率は高齢者になるほど高まるとされ、合併症予防などのリスク管理も重要といえる。

「合併症が少なく死亡率が低いことも、病院選びの指標になるでしょう。術後の合併症や死亡率、在院日数などのデータをホームページで公開している病院もあります。在院日数が短いことは、合併症などがなく、順調に回復しているという目安のひとつになると考えられます」(奥村医師)

【こんな病院は要注意!】
●肺葉切除と比較して区域切除の割合が多すぎる標準治療は肺葉切除であり、区域切除は一定の条件を満たす場合のみおこなわれる。区域切除の割合が多すぎる場合は要注意。

●がん以外の持病の治療や管理に対応できない高齢者はほかに持病のある人が多い。がん治療と並行して持病の治療や管理ができることも重要。

●治療後のリスク管理やフォローが不十分術後の合併症や、薬物治療の副作用への対策も重要。リスク管理の指標として、術後合併症や在院日数などのデータが参考になることも。

<解説者>
奥村典仁(おくむら・のりひと)医師/倉敷中央病院 呼吸器外科 主任部長
池田徳彦(いけだ・のりひこ)医師/東京医科大学病院 呼吸器・甲状腺外科 主任教授

(取材・文/出村真理子)

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