順調なスタートを切ったとくし丸だが、課題もある。始めたばかりで島内の認知度が低く、販売パートナーを担う個人事業主が見つかっていないことだ。橋本社長は「『明日からでも来てほしい』というお声はいただくのですが、1台では対応しきれない。とくし丸が、単なる社会貢献ではなく、しっかりと利益を出せるビジネスモデルであることを多くの方に知ってもらう必要がある」と話す。
橋本社長は、将来的に、島内で10台のとくし丸を走らせることを目標としている。「それぐらい走れば、一つのインフラとなる。地元スーパーの大切さは続けること。大手スーパーのようにエリアを見切って撤退するわけにはいかない。とくし丸を続けていれば、人口が減ってお店が経営できなくなっても、大手スーパーが撤退しても、そこを拠点にとくし丸を走らせることができます」
また、衣料品の販売も検討している。とくし丸によると、26台が活動する徳島県では、試験的に衣料品や眼鏡、郵便など、食品や日用品以外の分野での展開も始まっているという。橋本社長は「お客さまとの信頼関係を大切に、喜んでもらえることをやりたい」と意気込む。そこに、大手に負けない、地元スーパーの気概を感じた。(ライター・南文枝)