この瞬間について「ジェットコースターから飛び降りるときのような恐怖」だと言った人もいました。溜まっていた気持ちが「弾け飛んでしまった」と言った人もいます。いずれにせよ生半可な気持ちで「行きしぶり」が始まるのではない、けっして心の傷だって浅くない、ということは知っておいていただければと思います。
では、親はどうしたらいいのか。まずは思い出してもらいたいことがあります。
連休中の子どものようすです。子どもが「とにかく元気がない」「勉強が手についてない」「学校の話をしたがらない」「夜更かしを続ける」「スマホやゲームから妙に離れない」といったことがなかったでしょうか。
この5つは、学校に不安を感じているサインとして有名です。
もしこうしたサインが出ていたとしたら、お願いしたいことがあります。
そのままの状態が維持できるよう守ってあげてください。「学校でなにがあったか」などの原因究明は後回しです。
勉強が手に着かなければ手に着かないまま、ゲームから離れられなければ離れられないままにさせてあげてください。
そんなことをしたら「ますます、なまけ癖がついて学校へ行けなくなる」と、多くの親が思います。
逆です。
多くの子どもは「休めない癖」がついていて、どんなに苦しくても休めず、自分で自分のコントロールができなくなるまでがんばります。がんばり切れずに「行きしぶり」が始まり、自分ではどうにもできない状況にまで追い詰められているはずです。
私の場合も、そうでした。「学校へ行きたくない」と親に初めて言った日、自分では信じられないほどの涙があふれてきました。「苦しかった」なんて絶対に自分では認められないことでした。自分のためにもがんばりたいし、なにより親には笑顔で安心してもらいたい。その一心です。
ところが、それはもうできないところまで来ている。ならば、休むしかありません。気を休めて傷を癒すことだけが道です。