バッティングのスタイルについて、センバツのデータをもとに更に踏み込んで比較してみる。ここで取り上げたいのが積極性についてだ。清宮は2試合で10打席に立ったが、ストライクを見逃したのはわずかに1球。10打席中9打席でファーストストライクに手を出しており、4打席が初球打ちだった。一方の安田は5試合で23打席に立ったがストライクの見逃しは14球。ストレートの四球とカウント3-0となった後の見逃しストライクだった打席を除く18打席でファーストストライクに手を出したのは10打席、初球打ちは3打席という数字だった。なんでもかんでも初球から手を出せば良いというわけではないが、清宮の積極性が際立っていることはよくわかる。入学直後から高い注目を集め、1打席で来るストライクが少ない状況で結果を残すために現在のようなスタイルになったことは想像に難くない。

 それではバッティング以外のプレーはどうだろうか。まず守備だが清宮は肩の故障歴があることから肘を下げて投げることが多く、上のレベルではファースト以外を守ることは考えづらい。この点ではサードを無難にこなせる安田の方が評価されるポイントとなるだろう。

 次は走塁面。筆者が現場で見た清宮7試合、安田10試合で打ってから一塁に到達したタイムを比較したところ清宮の最速は4.58秒(セカンドゴロ)、安田の最速は4.26秒(セカンドゴロ)という数字となった。清宮のタイムは極めて平凡なものであり、安田は左打者としてはまずまずのタイムである。ちなみにツーベースでの二塁到達では清宮が最速8.10秒、安田が最速8.25秒で、どちらも決して遅くない数字である。脚力については大きな差はないが、清宮は凡打では全力疾走しないケースがほとんどであり、走塁に対する意識という点では安田に軍配があがる。

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