先制ゴールを決めて喜ぶ久保(撮影・六川則夫)
先制ゴールを決めて喜ぶ久保(撮影・六川則夫)
この記事の写真をすべて見る

 ロシアW杯アジア最終予選の第6戦が3月23日、各地で開かれ、グループB組の日本は敵地アル・アインでUAEと対戦し、久保の先制点と今野の追加点により2-0で完勝した。この結果、4勝1分1敗となり、勝ち点を13とした。

 昨年9月の対戦では、本田のゴールで先制しながら、直接FKとPKによる失点で黒星スタートとなった日本。しかし、この日は、今大会ベストといえる“完勝”だった。

 勝因は以下の3点となる。まずは、試合前日の原稿でも書いたチームの「団結」だ。レギュラーポジションを獲得するために自己アピールするのではなく、誰もがチームのために戦った。たとえば、FWの原口と久保。彼らは攻撃だけでなく、自陣に戻って守備でも貢献した。どの選手も90分間にわたって、攻守にハードワークを実践した。

 アジアのレベルは年々アップしており、日本がポゼッションで相手を圧倒する時代は過ぎていた。にもかかわらず、前回のUAE戦では、勝利を楽観視していたのかもしれない。経験値が高く、欧州のビッグクラブでプレーしている選手がいても、ベースとなる球際の強さや労を惜しまず動いてファイトしなければ、最終予選は勝てない時代に入っている。

 日本は後半33分、久保が足を攣って本田と交代した。アディショナルタイムには、酒井宏も足が攣ったため伸ばしていた。それだけ死力を尽くしたからこそ、勝利という“果実”を手にすることができたのだ。

 ふたつめは「新勢力の台頭」だ。前回の対戦とスタメンを比較すると、同じメンバーは、UAEが8人に対し、日本は4人のみ。特に日本のFW陣はすべて入れ替わり、久保、大迫、原口を投入した。この日、久保が1ゴール1アシストの活躍を見せ、大迫は的確なポストプレーとダイナミックなシュートで存在感を示した。原口も相手を抜き去るドリブルは健在だった。彼らは3人3様タイプの違うアタッカーで、対戦相手にとっては嫌な存在だろう。

 そして、ハリルホジッチ監督の「大胆な決断力」である。前回のUAE戦では、代表経験がない大島をスタメン起用した。結果は大島のミスから失点して敗れたが、指揮官はロシアW杯に向けて若手発掘の場と位置付けていた。

次のページ