商品やサービスを広めるにはどうすればいいでしょうか?
まずはプレスリリースを作成し、テレビ局、新聞社や出版社、ネットニュース各社にメールかファックス、あるいは郵送で知らせるのが基本です。
「なんだそんなことか」「プレスリリースが重要だなんて古い考えでしょ」と思った人もいるでしょう。
これまで200社以上の企業ブランド構築やPRを手掛けてきたPRの達人、上岡正明さんが新刊『共感PR――心をくすぐり世の中を動かす最強法則』(朝日新聞出版)の中で、プレスリリースの重要性について次のように述べています。
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PRの相談をされたときに、プレスリリースの話をすると、「もっと効率のいい方法はないの?」とよく言われます。そういうとき、私はこう質問します。
「ならば、あなたは実際にプレスリリースを送っていますか?」
「それも、誰もが人に言いたくなるような、魅力的な情報に変えて」
改めて、プレスリリースがどんなものか。それを説明するために、私が手がけた事例を使って説明します。
東京・池袋にある真言宗豊山派の「金剛院」が、2014年に境内にカフェ「なゆた」を併設しました。
お寺の中にカフェがある。それ自体はそこまで目新しいわけではありませんが、業務委託形式で飲食業界が参入しているコンセプトカフェが多い中、金剛院は「お寺直営のカフェ」です。ときにはお坊さんがコーヒーを淹(い)れることもあり、気軽に人生相談もできそうです。そこが大きなアピールポイントです。
さらに、住職の野々部利弘(ののべりこう)さんは近所づきあいや家族間のコミュニケーションが減っている昨今、お寺のカフェを利用して、地域の人たち同士、お客さん同士がリラックスしながら交流できる場になってほしいという想いも抱いていました。
これらを加味した上で、プレスリリース冒頭のキャッチコピーに落とし込んでいくのですが、アピールできるキーワードからなる文章を羅列すると以下のようになります。
・お寺の境内にカフェをつくった
・お寺直営のカフェなので、住職がコーヒーを淹れたり、人生相談もできそう
・地域の人同士でコミュニケーションを深めてほしいという目的がある
・2014年5月24日(土)にオープン
これを、消費者視点に立って考えてみます。すると、一番知りたい、興味がある項目はどれかと考えると、「お寺の境内にカフェをつくった」ということでしょう。この情報が、受け手に最も響く言い方を考えていきます。