ノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ女子は、オスロで行われた12日の個人第19戦をもって今シーズンの全日程が終了。9勝の高梨沙羅(クラレ)が2シーズン連続4度目の総合王者となり、W杯初勝利を含む5勝を挙げた伊藤有希(土屋ホーム)が自己最高の総合2位に入った。
高梨と今シーズン急成長を遂げた伊藤とのオスロでの今季ラスト勝負は、1本目にこの試合最長の130メートルを飛んだ伊藤が2本ともトップの成績で優勝。高梨は2位となり、伊藤が銀メダル、高梨が銅メダルだった世界選手権の勢いそのままの最終戦だった。
試合後、総合王者に与えられるクリスタルトロフィーを手にした高梨。本来ならシーズンで1番の晴れ舞台のはずが、表彰式が終わるとトロフィーには似つかわしくない表情に…。今季は全19戦のうち17戦に出場して9勝。文句のつけようのない成績だが「絶対に取りたい試合、ピークを合わせたい時」に表彰台の真ん中を逃したことの悔しさが大きかった。
W杯通算50勝に王手をかけて乗り込んだ日本の4連戦でまさかの足踏み。50勝からは3連勝も、日本で大きく取り上げられていたW杯ジャンプの歴代最多通算勝利記録(53勝)はリーチをかけてから2試合目で達成。 「あまり考えたくなかったですけど、全く考えていませんと言うとウソになる」という通算54勝も、来季に持ち越しとなった。
「やはり、たくさんの方から期待していただいただけに、そこを取れなかったのはとても悔しい。ここぞというか、絶対に取りたい試合、ピークを合わせたい時に自分の力を発揮できないのが、自分の中で1番弱いところ。その原因が何なのか、もちろんメンタルもそうなんですけど、技術的にももっとできることはあると思うので、いろいろ周りの人のアドバイス、意見を聞いて…。自分を変えていかないといけないと思う」。勝つことが当たり前になってしまったゆえに、節目でのつまずきがクローズアップされてしまう。喜びの声を聞く場のはずが、今にも泣きそうな高梨からはそれとは逆の言葉が続いた。