■楽天

補強ポイント】
・和製大砲候補
・球威で押せる中継ぎ投手

 田中将大の獅子奮迅の活躍で日本一に輝いた13年以降の順位は6位、6位、5位と低迷している。しかし過去5年間のドラフトでは全員1位で高校生を指名するなど目先の勝利だけでなく将来に目が向いているチームだ。1位指名した選手の中では松井裕樹(22歳)が完全に守護神に定着し、安楽智大(21歳)も2年目の昨年3勝をマークしブレークの兆しが見える。故障から復活して昨年7勝をマークした釜田佳直(24歳)も高校卒のためまだまだ若い。そこに昨年上位指名した藤平尚真(19歳)と池田隆英(23歳)の二人が加わり、更に若手の層は厚くなった。エースの則本昂大(27歳)がメジャーに移籍という話になっても備えはできている印象だ。気になるのは手薄なリリーフ陣。長年ブルペンを支えてきた青山浩二(34歳)に衰えが見られ、他で計算できるのは福山博之(28歳)とワンポイントの金刃憲人(33歳)くらい。ドラフト5位ながらルーキーの森原康平(26歳)は戦力として期待できそうだが、球威で押せる中継ぎ投手がもう少し欲しいところだ。

 野手は昨年規定打席をクリアしたのが茂木栄五郎(23歳)、銀次(29歳)、藤田一也(35歳)、岡島豪郎(28歳)の四人。全員が右投左打のチャンスメーカータイプである。ロッテと同じく日本人選手で二桁本塁打を記録した選手はゼロ。内田靖人(22歳)、フェルナンド(25歳)がともに二軍で二桁本塁打を放ち浮上の兆しはあるものの、やはり長打力のある若手選手が少ないのが現状だ。捕手は年々成績が下降している嶋基宏(33歳)の後釜候補として下妻貴寛(23歳)、堀内謙伍(20歳)と若くてスケールのある高卒捕手を獲得している。そのような事情もあるため守備や走塁ではなく打力重視で野手に狙いをつけたい。

 層の厚さから考えてもやはり補強したいのは野手。ただ高校卒の長距離打者タイプがなかなか育っていないだけに、清宮と安田は推薦しづらい。そんなチーム状況に上手くはまりそうなのが谷田成吾(JX-ENEOS・外野手)だ。慶応大時代はまさかの指名漏れとなったが、長打力と打者としてのスケールの大きさはアマチュア球界でも屈指。外野手で完全なレギュラーと呼べるのは岡島だけで、期待のオコエ瑠偉(20歳)ももう少し時間がかかりそうな現状を見ると、強打の外野手はぴったりチームに当てはまるだろう。

 下位で指名できそうな即戦力のリリーフタイプでは柏原史陽(JX-ENEOS)が面白い。連投も多かった大学時代と比べて明らかにボールの力がアップした。短いイニングの起用に限定すれば、球威が更に増す可能性は大きい。桐光学園では松井の2年先輩であり、よく知った選手が活躍している環境も後押しになるだろう。

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