「亡くなる原因を調べると約6割が他病死、つまり肺がん以外の要因でした。80歳も過ぎるとほかにもいくつか病気を持っていて、がん以外の要因で亡くなることもあります。肺を切除したことで肺炎が重症化しやすくなるかもしれません。それに対しては術前評価をしっかりしたり、からだに負担をかけないよう胸腔鏡手術をおこなったり、術後フォローアップを徹底したりするなどして対応する必要があると思います」

 同院では高齢患者に対して術前、「パフォーマンスステータス(PS)」「呼吸機能」「心機能」「持病のコントロール」「嚥下機能」「認知機能」という六つの評価を実施している。後者の二つは高齢者特有の検査だ。PSは全身状態をみる指標の一つで、0(日常生活が制限なくおこなえる)から4(まったく動けず、終日ベッドやイスで過ごす)まであり、同科では2以下を手術適応としている。呼吸機能は最初の1秒間でどれだけ息を吐き出せるかをみる「1秒量」や、肺がどれくらい血液中に酸素を取り込めるかをみる「一酸化炭素肺拡散能」などを参考にする。

「当院では、これらの術前評価を特に重要視しています。循環器内科医をはじめ、各科の専門医と連携して、術後合併症や手術死を減らす努力をしています」(同)

(文/山内リカ)

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