「開催国の威信をかけて」「悲願の初優勝へ本気モード」
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催されるたびに、こんな文言が書かれる米国代表だが、これまでの3大会では、第2ラウンド敗退、準決勝敗退、第2ラウンド敗退と、決勝進出すら叶わない結果となっている。アメリカ国内では全く盛り上がらず、視聴率や観客動員数も今ひとつのWBCに、現地の記者が「次の大会で十分な収益が上げられなければ、最後の開催となってしまうかもしれない」とツイートして波紋を呼んでいる。
大会消滅の危機を救うには、オールスター軍団の米国代表による初優勝しかない、との声もあるなかで編成されたメンバーは、真のトップ選手こそ不在だが、十分に優勝が狙えるラインアップとなっている。
昨季のリーグMVPであるマイク・トラウト(エンゼルス)とクリス・ブライアント(カブス)はいずれも不参加で、出場予定だった昨季サイ・ヤング賞のマックス・シャーザー(ナショナルズ)も故障で出場辞退となるなど、今回も飛車角落ちの感もあることは否めないが、予想スタメンを見ると、それなりのビッグネームが並んでいる。
クリーンアップに名を連ねるのが、昨年まで4年連続でオールスターに出場し、シルバースラッガー賞2回の実績を誇るポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)、2年連続で本塁打と打点の二冠王に輝いているノーラン・アレナド(ロッキーズ)、イチローの同僚で2014年の本塁王であるジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)で、3人とも20代の若きスラッガーだ。イアン・キンズラー(タイガース)とブランドン・クロフォード(ジャイアンツ)の二遊間コンビは、いずれも昨季ゴールドグラブ賞に輝いた守備の名手。捕手のバスター・ポージー(ジャイアンツ)も、シルバースラッガー賞3回の打撃に加えて、昨季初めてゴールドグラブ賞を獲得している。オールスター常連のマット・カーペンター(カージナルス)やアンドリュー・マッカチェン(パイレーツ)が控えに回る可能性があるなど、層の厚さは他の追随を許さない。