冬のメルカート(移籍市場)が閉じ、本田圭佑のミラン(イタリア)残留は確定した。今季ここまでリーグ戦は5試合(スタメン1試合)の出場にとどまり、出場時間は計95分。セリエAはスタメン選手の他に12人のベンチ入りが許可されているが、その中でも出場機会がかなり限られているのが現状だ。
ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督率いるミランはFWジェラール・デウロフェウをエヴァートン(イングランド)から、MFルーカス・オカンポスをジェノア(イタリア)からレンタルで獲得し、サイドアタッカーを補強した。今後ますます出場のチャンスが減少する可能性が指摘されるのは仕方の無いところだが、残り16試合でも“ベンチ暮らし”は続くのだろうか。
現在のミランはモンテッラ監督もしばしばコメントしている通り、若手によりチャンスを与え、彼らの可能性を引き出そうという戦略が明確にあり、ある意味で未来への投資をしている向きもある。戦術面では4-3-3をベースにボールを速く動かしながら、スペースをどんどん活用して行く意図が強く見られる。
このスタイルにおいて左右のウィングは高い位置でタメを作って崩しの起点となるより、縦の仕掛けや飛び出しからのフィニッシュなど、ゴールに直結させるプレーがメインであり、いわゆる組み立ては中盤や両SBに委ねられる部分が大きい。本田もフィニッシュに絡めない選手ではないが、多くボールを触りながら好機をうかがうタイプで、少なくとも現在のミランのウィングに合っているとは言いがたい。
ただ、ここに来てリーグ戦3連敗、コッパ・イタリアのユヴェントス戦を含めれば公式戦で4連敗を喫しているが、対戦相手がボールの出所にタイトなプレッシャーをかけてくるとリズムを崩し、悪いボールの取られ方からカウンターを受けやすい。その傾向は特に前節のサンプドリア戦で顕著に見られた。すでに空いているスペースを使って攻めるための面子を揃えているが、そのスペースが無い時にそれを作り出す存在がピッチ上に不足している。