「シムカードありますよ」


「ネットもつながるタイプ?」
「もちろん。うちが紹介するホテルに泊まったら、ホテルのスタッフがシムカードを用意します」
「そういうことじゃなくて」
「渋滞で市内まで行くのは大変。うちのホテルは空港から車で5分です」

 またしてもインドだった。

 なんだかおかしくなってくる。

 結局、このオフィスが斡旋するホテルに泊まることになってしまった。おそらくどのオフィスにいっても一緒なのだ。シムカードを用意するといった以上、なにかはするだろう。インド人は意外なほど律儀だ。

 空港は変わった。

 しかしインドは変わらない。

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)
1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(隔週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(隔週)、「タビノート」(毎月)など

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