欧米で生まれたLCCは2000年頃からアジアに飛び火。東南アジア各国にとびきり安い運賃を打ち出すLCCが次々に誕生した。そのけん引役を果たしたのが、マレーシアのエアアジアだ。その拠点空港がLCCTだったのだ。クアラルンプールからシンガポールまで80円という運賃に吸いつけられ、僕も何回となくLCCTを使うようになった。航空業界に構造改革をおこしたLCCとはどんなものか……とビジネスマンも集まってきた。
しかし航空業界の動きは速い。エアアジアをしのぐような新興LCCが頭角を現してくる。そのひとつがマリンドエアだろうか。預ける荷物は30キロまで無料、軽食だが無料の機内食が出、シートテレビもある。従来の飛行機との違いはほとんどなく、運賃だけが安いというLCCである。
マレーシアのLCC第2グループが目をつけたのがスバン空港ということらしい。休眠状態だった空港が一気に活気づいた。
スバン空港と旧LCCT のKLIA2。安い航空券を選ぶと、このふたつの空港を乗り継ぐことになる。それを考えると、少し気が重い。
下川裕治(しもかわ・ゆうじ)
1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(隔週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(隔週)、「タビノート」(毎月)など