ロシアでのハビエル・フェルナンデスとの戦いが注目される宇野昌磨(写真:Getty Images)
ロシアでのハビエル・フェルナンデスとの戦いが注目される宇野昌磨(写真:Getty Images)
この記事の写真をすべて見る

 今年4月に行われた世界選手権――。大会へ向けて厳しい練習をして臨んだにも関わらず、初出場となったこの大会の結果は、フリーで順位を落として7位。

 宇野昌磨は「これまではいつも以上の練習をした時は、毎回いい演技が出来てその結果で報われていた。それはたまたまだったのかもしれないが、今回は残念な結果になってしまった。何を失敗したかより、これだけ練習をしてきたのに自分で自分の練習量を否定する結果になったことがすごく悔しい」と言って、涙を流し続けていた。

 そのモヤモヤした思いに踏ん切りを付けるために挑戦したのが、シーズン最後の大会だった4月のチームチャレンジカップだった。地域対抗戦で、失敗すればチームに迷惑がかかってしまうというなか、「挑戦させなければ彼はダメになってしまう」というコーチや関係者の決断で、まだ練習でも成功の確率が低かった4回転フリップに挑戦した。

 そしてショートプログラム(SP)で世界初の成功を実現させると、フリーでも着氷。非公式記録ではあるがSP105.74点、フリー192.92点で両方とも1位になり、チームに貢献したのだ。

 これにより、納得した気持ちでシーズンを終えることができた宇野は、今シーズン初戦となったロンバルディア・トロフィーでは、フリーで冒頭と後半に4回転フリップを2回入れるプログラムに挑戦。ともに成功することはできなかったものの、合計258.93点で優勝を飾った。そして10月のGPシリーズ初戦スケートアメリカでは、SPでは4回転トゥーループ+3回転トゥーループのセカンドジャンプで転倒してしまったが、冒頭の4回転フリップはキッチリと決め、89.15点を獲得して1位スタートになった。

次のページ