マギーズ東京の外観。
マギーズ東京の外観。
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見晴らしのいい室内にはキッチンも併設されている。
見晴らしのいい室内にはキッチンも併設されている。
木造の室内はやわらかな雰囲気。
木造の室内はやわらかな雰囲気。

 著名人が闘病を公表するたびに、そのリスクへの意識が高まる「がん」。国立がん研究センターによると、2015年の予測がん罹患数は98万例以上。14年の予測値より約10万例、増加しているという。

 そんななか、これまでの制度や医療施設とは異なる形で、がん患者だけでなく、周囲の人も支援する施設が登場した。10月10日に東京・豊洲にオープンした「マギーズ東京」だ。

 ゆりかもめの市場前駅から徒歩5分ほど。木々や芝生に囲まれた、川沿いの見晴らしのいい場所に建つのが、マギーズ東京だ。建物は一見するとカフェのようにも見える、おしゃれな木造の平屋。入ってすぐに、キッチンが併設されたリビングのような空間があり、知人の家にでも遊びに来たような気分になる。マギーズ東京の共同代表理事・秋山正子さんはこう話す。

「マギーズ東京は、がんになった方やその家族・友人など、がんに影響を受けるすべての人が対象の施設なんです。がんにまつわる漠然とした不安やとまどいを、どこに相談したらいいかわからないというときに、気軽に予約なしで来て、相談することができる施設です。そして話すことで自分の気持ちを整理したり、不安の原因を探ったり、相談員と一緒に方法を考えたり、というこができればと思っています」

 マギーズ東京のもとになっているのは、英国発祥のチャリティー団体がつくった施設「マギーズセンター」。約20年前、英国の造園家・マギー・ジェンクスさんが、自身が乳がんを患った際に「患者ではなく、ひとりの人間として過ごせる家庭的な環境と、医学知識のある友人のようなサポートが必要」と考えたことがきっかけだった。マギーさんは自身の担当看護師や、建築評論家の夫の協力を得て「マギーズセンター」の設計に取り掛かったが、マギーズセンター第1号が完成したのはマギーさんが亡くなった後だった。

 しかしマギーさん亡き後もその思いは引き継がれ、現在もマギーズセンターでは人々がテーブルを囲んでお茶をしたり、施設内の看護師に相談したり、あるいは患者同士が悩みを語らったり……と、がんに関わる多くの人が、安らいだり、前向きになれる場所として利用されている。

 マギーズセンターはさらなる広がりをみせており、建設中のものを含めると英国に20か所以上、香港やバルセロナといった国外にも展開している。そして、英国のマギーズセンターから正式な承認を得てつくられたのが、このマギーズ東京だ。

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