プレーオフ初登板で相手打線に打ち込まれ、ベンチでうなだれる前田健太(写真:Getty Images)
プレーオフ初登板で相手打線に打ち込まれ、ベンチでうなだれる前田健太(写真:Getty Images)
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 悪夢の3回裏というべきだっただろうか―――。現地時間10月10日に行われたMLBナショナル・リーグの地区シリーズ第3戦で、ロサンゼルス・ドジャースの前田健太はメジャーでのプレーオフ初先発を果たした。しかし、1−0とリードして迎えた3回、前田はナショナルズ打線につるべ打ちに遭ってしまう。

 この回、1番のトレイ・ターナーが中前打、2番のジェイソン・ワースが右翼線適時二塁打、4番のブライス・ハーパーが右前適時打、5番のアンソニー・レンドーンが左中間本塁打と中軸が爆発。一挙に4点を挙げたナショナルズが逆転し、そのまま8−3で逃げ切り勝利を収めた。この時点でナショナルズが2勝1敗とリードし、シリーズ勝ち抜けに王手をかけたのだった。

「ポストシーズン用のピッチングの考えはないです。初めから飛ばすことによって、良いピッチングができるかといったらそうじゃない。(日本時代に)何度か試したことがあるんですけど失敗したので、ポストシーズンでも、一発勝負でも、ペース配分は変わらない。先発ピッチャーとして全部全力じゃなくて、抜くところは抜くし、力を入れるところは入れるというのは変わらないです」

 登板前日、前田にプレーオフでのペース配分について尋ねると、詳細な答えが返ってきた。その言葉からは、日本でも多くの大舞台に立ったピッチャーらしい落ち着きが感じられた。だとすれば、この日の登板でも力を入れすぎて失敗したというわけではないだろう。

 アンパイアの判定が厳しかったという声もあるが、判定への対処も含めて実力のうち。初回にも2四球で満塁のピンチを招くなど、立ち上がりから不調を感じさせていた。それだけに、3回5安打4失点で早々とマウンドを降りることになっても、驚いたファンは少なかったのではないか。

「先発ピッチャーとして1年間投げられたというのは誇りに思いますし、特に今年はチーム事情でけが人が多かった。その中で離脱することなく投げられたのはチームのためにもなったし、自信にもなったので、良かったと思います」

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