「香川の長所はたくさんあるが、第一には『プレーの連続性』だろう。イマジネーションが豊かなだけに決してトライをやめず、たくさんの"未来視"の中から最善のプレーを選択できる。たとえ失敗しても、思考と運動が絶え間なく続くことでマーカーを困惑させるのだ」

 「プレーの連続性」や「未来視」という表現は、香川を読み解く鍵となりうる。

 ドルトムントでは、彼自身が連係を深める前にゲッツェ、ゲレイロの二人が噛み合い、活躍の場を失っている。エムレ・モル、クリスティアン・プリシッチのような切り込む力もなく、攻撃陣では8番手に落下。代表でも、両サイドの選手が極端に中に入ってスペースを埋めるため、香川は"渋滞に巻き込まれた。無論、それを解決する力が求められているのだろうが…。

 香川は今も昔もプレーセンスに溢れている。様々なプレービジョンは舌を巻く。彼には“未来の映像”が見えているのだろう。しかし、それは他者との高度な共存で成り立っている。わずかな狂いが、大きな乱れを生むのだ。

 本来のプレーを取り戻すには、香川本人がそのズレを調整するしかない。(文=スポーツライター・小宮良之)

暮らしとモノ班 for promotion
知ってた?”ワケあり”だからお買い得なAmazonアウトレットの日用品