リオデジャネイロで暮らすサンバダンサーの日本人、工藤めぐみさん
リオデジャネイロで暮らすサンバダンサーの日本人、工藤めぐみさん

 懸念材料ばかりがクローズアップされるリオデジャネイロ五輪。日本にも不安なニュースがひっきりなしに伝えられているが、肝心なのは地元に暮らす市民の盛り上がり。思い起こせば2009年10月、東京も招致に乗り出していた2016年五輪・パラリンピック開催都市にリオデジャネイロが決まったとき、市民の支持率は85%に迫る勢いだった。参考までに東京の支持率は55%超。当時、筆者は招致委員会に在籍していたが、もろ手を挙げて喜ぶリオデジャネイロを恨めしく思いながら、7年後にどんな大会を開いてくれるのか、楽しみに注目してきた。

 まず、現在の街中の五輪ムードはどうか。五輪開催時といえば、大会主催者のIOC(国際オリンピック委員会)と契約を結ぶスポンサー12社、通称TOP(The Olympic Partner Programme)の、ど派手な看板があちらこちらに掲出されるのが常だが、今回に限ってはそれが少ない。リオデジャネイロ市は景観保護の観点から、看板等の掲出を規制しているためだ。しかし、8月5日の大会開幕まで1カ月を切ったあたりから、ようやくビルの外壁やバス停などにちらほらTOPの看板がお目見えし、少しずつ五輪ムードが出始めている。

 次に市民の観戦意欲はいかほどか。チケットの売れ行きを見てみると、開幕3週間前の時点で全体の3分の1近くがまだ売れ残っていると、大会組織委員会の広報担当者が明かしている。売れ行きが好調なのはブラジルで「BIG4」と呼ばれるサッカー、バレーボール、バスケットボール、ハンドボールといった人気競技。これに対しマラソン、7人制ラグビー、バドミントン、卓球など9競技・種目は低調のため、2割引で販売されている。

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