安倍首相の「オレ様化」が止まらない!?
安倍首相の「オレ様化」が止まらない!?
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 第24回参議院選挙の投開票が行われ、参院全体で自民、公明、おおさか維新の会など、憲法改正に前向きな「改憲勢力」が3分の2を超えた。安倍晋三首相を「オレ様化」した傲慢(ごうまん)人間だと断じる精神科医の片田珠美さんは、著書『オレ様化する人たち あなたの隣の傲慢症候群』で、身近に存在する「オレ様」を徹底分析。安倍首相の傲慢さがもたらす弊害と、「オレ様」に負けないためにどうするべきか、指南してくれた。

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 安倍首相の歓喜にあふれ、高揚した顔を見て、「傲慢症候群(ヒュブリス・シンドローム)が一層悪化するのではないか」と危惧せずにはいられなかった。

「傲慢症候群」は、イギリスのデービッド・オーエン元外相・厚生相が提唱した概念である。オーエンは「権力の座に長くいると性格が変わる人格障害の一種」と説明している。たしかに、「権力を握ってから、おかしくなった」とか、「権力を振るえる立場になってから、とんでもないことをするようになった」と言われる人はいる。

 権力の座につくことによって、おごりや自信過剰が生まれ、そのせいで周囲が見えなくなり、冷静な判断ができなくなるのが傲慢症候群の特徴だ。オーエンは政治家であると同時に神経科医でもあるので、国家のトップが周囲の助言に耳を傾けず、暴走する姿を医師のまなざしでつぶさに観察していたのだろう。

 オーエンがヒュブリスという傲慢を意味するギリシャ語をあえて用いたのは、古代ギリシャではヒュブリスが非常に重要なテーマだったからだ。

 ヒュブリスという名前の女神が『イソップ寓話集』の「戦争と傲慢」に登場する。神々が結婚式を挙げ、それぞれの伴侶が決まったのだが、ポレモス(戦争)の神は遅れて到着したので、1人だけ残っていたヒュブリスをめとることになった。ヒュブリスは絶世の美女だったらしいが、その性格ゆえに売れ残っていたようだ。もっとも、ポレモスはヒュブリスにぞっこんで、この女神の行くところにはどこにでもついて行くので、傲慢のあとから、たちまち戦争がやって来るといわれるようになった。

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