香川のゴールを祝福する長友。(撮影・六川則夫)
香川のゴールを祝福する長友。(撮影・六川則夫)

 デンマーク、ブルガリア、ボスニア・ヘルツェゴビナの代表チームを招待したキリンカップサッカー2016の準決勝2試合が、6月3日に豊田スタジアムで開催され、ブルガリアと対戦した日本は岡崎慎司や香川真司のゴールなどで7-2の大勝を収めた。ブルガリアとは過去5回対戦して1分け4敗だったため、日本はようやく初白星をあげたと同時に、欧州勢からの7ゴールも初めての快挙と言える。

 この試合の焦点は、左膝の炎症により欠場が決まっていた本田圭佑の代わりを誰が務めるのかということだった。本田のポジションに起用されたのは、代表4試合目となる小林悠だったが、彼が本田と同じプレーをできるわけではない。本田と同じプレーをできるのは本田以外にいないのは当たり前だ。では、誰が本田の代わりを務めたのかというと、先制点を決めた岡崎であり、2点目と3点目を決めた香川であり、好アシストを演じた清武弘嗣ら、これまで代表の常連だった選手たちだった。

 本田が本田である所以は、チームが苦しい時こそゴールやアシストで勝利に導いたことだ。勝負強く、タフなメンタルでチームをリードする。その本田がいないことで、岡崎や香川、清武といった攻撃陣だけでなく、長谷部誠や柏木陽介の両ボランチ、DF陣では吉田麻也、森重真人、長友佑都らブラジルW杯を戦ったメンバーが奮起した。特に攻撃陣は本田の不在を感じさせないほど躍動感に満ちていた。

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