バンデンハークの投球内容を見ると、与四球の少なさと奪三振の多さが際立つ。与四球6は今季のパ・リーグで最少。また、奪三振47はリーグ3位だ。新たな統計手法であるセイバーメトリクスで、投手評価の基本項目として注目されるK/BB(奪三振を与四球で割った数値)は7.83でリーグ1位。2位の則本昂大(楽天=3.78)に2倍以上の大差をつけている。バンデンハークの昨季K/BBは5.45。昨季、規定投球回以上の投手で最高はマイコラス(巨人)の4.65で、5.00以上をマークした投手はいなかった。

 三振奪取率(9回平均の奪三振数)だけをみると、大谷翔平日本ハム=今季10.96)や則本(同10.74)より低いが、四球で余計な走者を出さない。大谷が24四球、則本が18四球なので、バンデンハークの6四球はいかに少ないかが分かる。完璧過ぎる右腕に、あえて弱点を挙げるとすると被本塁打が多い(6=リーグワースト2位タイ)ことだろう。しかし、6本中5本がソロ本塁打。余計な四球を出さないことが、被害を最少に食い止めている。勝負どころと本塁打を許しても大勢に影響がない場面とで、投球に強弱をつけられるのも、勝てる投手の条件。無傷のまま24連勝した13年の田中将大楽天)も、被本塁打6本の内、5本がソロだった。同年のK/BBが5.72だった田中に、バンデンハークがどこまで近づけるか。無敗記録に今後も注目だ。

(文/日刊スポーツ・斎藤直樹)