クロップ監督は古巣相手に的確な采配で劇的な勝利を掴んだ。一方のドルトムントは彼とアンフィールドの熱量に呑みこまれた。(写真:Getty Images)
クロップ監督は古巣相手に的確な采配で劇的な勝利を掴んだ。一方のドルトムントは彼とアンフィールドの熱量に呑みこまれた。(写真:Getty Images)

 4-3。

 UEFAヨーロッパリーグ準々決勝、リヴァプール対ドルトムントのセカンドレグ(第2戦)は、『クロップダービー』の名に恥じない、壮絶な打ち合いになった。

 たしか“3点”は、サッカーの試合におけるセーフティーリードとされたはずだが、そのような常識も、クロップとアンフィールドが発する呆れるほどの熱量の前では無力だったのか。

 ドルトムントは、前節シャルケ戦でファンタジックなループシュートを決めた香川真司を先発メンバーに加えた。

 2戦合計180分の前半にあたるファーストレグこそ、守備的に戦ったドルトムントだが、セカンドレグでは香川をトップ下に置く4-3-3を用い、攻撃に舵を切った。

 試合開始から9分間で、ヘンリク・ムヒタリヤンとエメリク・オーバメヤンがゴールネットを揺らし、ドルトムントが2点を先行。リヴァプールは早々とアウェイゴールを2点許し、逆転するには“3点”が必要に。いきなり苦しい状況に追い込まれた。

 そのリヴァプールの1トップは、ファーストレグに続き、ダニエル・スタリッジではなく、ディボック・オリギが先発。裏へ飛び出す動き、スピードとパワーに長けたベルギー代表FWを置いた。

 オリギが飛び出し、それに続いて2列目からララーナ、フィルミーノらも飛び出す。単発に終わらない、“飛び出しの連鎖”がドルトムントを襲った。

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