現地時間4月12日、欧州チャンピオンズリーグ準々決勝2ndレグ。レアル・マドリー(スペイン)は1stレグで0-2とヴォルフスブルグ(ドイツ)に敗れ、絶体絶命だった。1点でもアウェイゴールを奪われると、たとえ3点取っても及ばない(アウェイゴールルール)。難しい戦いであることは間違いなかった。
しかし、この夜のマドリーの選手たちはどこか神懸かっていた。
「(本拠地の)サンティアゴ・ベルナベウでの90分は敵にとって、とても長く(耐えられない)時間を感じるものだ」
これはマドリー伝説の背番号7、ファニートが残した有名な遺訓だが、ベルナベウで負けられないときの選手たちは何者かに成り代わったような動きを見せる。それは理屈では説明が付かない。敵に"地獄"を見せられる。
「立ち上がり15分、選手たちが見せたインテンシティは凄まじかった。まず、相手にマドリーがどれだけ本気で挑んでいるか、その気迫を見せられた」
マドリーのジネディーヌ・ジダン監督は語ったが、一気に敵の気を挫いた。トップのカリム・ベンゼマを中心に敵陣内に殺到、ボールを失ってもすぐに食らいついて奪い返し、波状攻撃を繰り返す。相手がその攻撃圧力に怯え、ラインをずるずると下げると、さらに追い立てた。