本書では、就職浪人までしたある女子大生が、エアラインスクールに2年間総額で500万円もの大金を費やしたものの、夢を実現できなかった悲劇的な事例が紹介されている。
金額に見合ったレッスンを行っていない“悪徳スクール”が淘汰されないのは、何故なのか。本書では、石渡氏が関係者からの取材で真実に迫っている。
「外国語・国際系学部にしろ、エアラインスクールにしろ、エアライン志望の子が大量に集まる。中には講義などしなくてもしっかりした子もいる。数が集まっていれば、ある程度の人数はエアラインに就職できて、それがまたアピールできる。どうしようもない学生は『親身な指導』と言いつつ、オプションで金を出すように仕向ければ利益はちゃんと出るし、評判は落ちない」(本書より)
一方で、エアライン志望する学生側にも、こうした“ぼったくり”を横行を冗長させる面もあるという。同職種の選考では、容姿端麗だけでなく外国人に応対できる英語力も大前提である。だが、本書の中でエアラインスクール「ストラッセ東京」の古澤有可氏が、学生の態度についてこう証言している。
「英語を勉強したかと聞くと、『やってない』と答える学生が多すぎます。それで、どうすれば受かるのか、と聞かれても『勉強してね』、としか答えようがありません。学生の勉強への甘い姿勢が、ぼったくりを生んでいる、とも言えます」(本書より)
問題の背景には、学生の他力本願な姿勢を利用する“からくり”もあるようだあった。当たり前のことだが、夢の実現に裏技は存在しない。甘い歌い文句で夢を食い物にする業者に付け込まれないためには、やはり学生自身の主体性が欠かせないようだ。