「リエゾンプロジェクト」は研修センターを本拠地岡山のほか、昨年東京・五反田にも開設した。参加費用はひとり10万円(税抜き)で、地方からの参加者は交通費や宿泊の負担が必要になる。各回の定員は先着4人。夫婦での参加なら2組という少人数制だ。
1日目は座学で製パン理論を学び、2日目から4日目が実技研修。実店舗のレイアウトを模した施設で、実際に使用するのと同じ機材を使い、人生初のパン製造を体験する。まったくの初心者であっても、トレーナーの指の動きをまねてコツをつかみ、レシピ通りに忠実に再現することで、メロンパン、クリームパンなど合わせて15種類のパンが作れるようになる。5日目には接客などの販売研修でカリキュラムを終え、技術研修修了証が授与される。もちろん、研修を受けたからといって、開業しなければならないという制約はない。セカンドライフは自己判断だ。
「ゼロからのチャレンジで、初めての体験で売り物になるパンが焼けたときには感動しました」と語るのは、2010年に「リエゾンプロジェクト」を通じて独立・開業し、ベーカリーのオーナーになった櫻木幸人氏だ。同氏は大学卒業後、有料道路を建設・管理する特殊法人に約20年勤務。とくにパンやベーカリー経営に以前から大きな興味を持っていたわけではないという。
「どれくらいパンが好きかというと恐らく皆さんと同じくらいです。『ふだんから食べるのが好き』という程度で、パンへの強いこだわりや本格的なパンを焼いた経験はまったくありませんでした。ビジネスパーソンを続けてきて、なにか新しいことを始められたらいいなぁと漠然と考えていたときに出会ったのが、たまたま『リエゾンプロジェクト』だったのです。不安はも、周囲の反対もありました
」(櫻木氏)