ニッポン新体操が“悲願”を達成した。9月7日~13日にドイツ・シュツットガルトで開かれた、第34回世界新体操選手権大会。五輪出場枠がかかった今大会で、日本は個人・団体ともに五輪出場枠を獲得。さらに、団体種目別で銅メダル獲得という快挙も成し遂げた。この大会では実に40年ぶりのメダルだ。強豪国とはいえない日本……躍進の“ウラ”には何があったのか。
今大会、日本からは、世界でも美しいと評価が高い、皆川夏穂(イオン/大原学園高)と早川さくら(イオン/日本女子体育大学)が個人総合に出場した。皆川が15位、早川が17位となった。五輪出場枠は上位15位までに与えられるため、日本は個人出場枠「1枠」を獲得した。
ふたりが世界選手権に初出場したのは第32回大会(2013年)だが、このときは皆川が36位、早川が40位。この2年あまりで20位以上も順位を上げた。なぜ、急激な成長を成し遂げたのか。
ふたりは、2013年から強豪国・ロシアに練習拠点を移し、現地のコーチから徹底した指導を受けてきた。実はこれまで、日本の新体操は「まずは団体を優先して強化する」という方針があった。
団体は05年から強化を開始しているが、これが少しずつ結実し、08年北京、12年ロンドンと、五輪に連続出場を果たした。さらにロンドン五輪では7位に入賞。団体が結果を出し始めたことで、13年から協会は改めて個人強化に乗り出したのだ。彼女たちはこの3年間で数々の国際大会に積極的に出場し、着実に存在感を増してきた。
例えば、皆川はこれまで手具操作の面で高難度の演技に挑戦してきたが、それゆえに一度ミスが出ると大きく崩れてしまい、点数を下げることが多かった。それが今大会では、五輪出場のかかった重要な局面にもかかわらず、ミスを少なくまとめて大崩れもしなかった。
ただ、皆川の五輪出場が決まったわけではない。今大会では、日本の五輪出場「枠」が決定しただけ。皆川か早川のどちらがリオ五輪に出場するかはまだ決まっていない。今後、国内選考などを経て決定する予定だ。
一方、団体で日本選抜チーム「フェアリージャパンPOLA」が上位に食い込んだことについては、ここ十年の強化策が実を結んだと言えるだろう。