一流大学卒、大手医薬品メーカー総合職と安定した高い収入があるからこそだが、それでも度重なる慰謝料を支払ってまで婚姻を繰り返すのには理由がある。
「ずっと私を女として見てくれる人と生活を共にしたいから。ひとつ屋根の下で24時間生活していると、いつしかその関係は家族となってしまいます。過去、通い婚も経験しました。でも、婚姻という形をとる限り男と女ではいられなくなってしまう。私は妻であり、母である前にひとりの女性として生きていきたいのです」(大井さん)
違約金を支払ってでも、機種変更をするように、相性が合い、トキメキを感じさせてくれる新たなるパートナーを求める。そこには一度きりしかない人生、悔いを残したくないとの思いが大きい。
もっともスマホも長年用いることで、ようやくそのよさがわかることもある。その一方で、機種変更を繰り返しても「使いこなせない」ということもしばしばだ。同様に、婚姻期間が短い“機種変婚”ではパートナーの良さがわからないまま次に乗り換えてしまうとのリスクも孕む。
そうしたリスクはさておき、今、高学歴、高収入女性に目立ってきた“機種変婚”は、これから定着するだろうか。
「機種変婚したいけれど踏み出せない気持ちの妻は少なからずいるでしょう。一人の女としてみないで『お母さん』と呼んだり、家の中でゴロゴロしていれば、2年ごとの機種変更でなくても、ある日突然、夫に嫌気をさして別の男性にチェンジしてしまうかもしれません」(結婚相談業者の「良縁コンシェルジュ町田」代表・佐野浩一氏)
機種を変更するように新しく乗り換えていく「パートナー」は常に新鮮で、新たな発見や学びをあなたに与えてくれる。そのパートナーにももちろん欠点はあるし、いいことばかりではない。だが、空気が澱んで冷え込んだ夫婦生活を悶々と送るよりは、勇気を出して一歩踏み出し新しい環境で生活を始めてみるのもアリかもしれない。
(ライター・志村ひな子)