「僕の父親、実業家なんだ。でも、あちこちに女を作る人で、いつも母親とケンカしていた。そんな家庭が嫌で、僕も荒れていたんだ。
そして、家が嫌だから、高校生の頃からあちこち旅をするようになったんだ。大学生の頃には海外を旅するようになった。
いろんなところを旅しているうちに『自分て、なんて小さいんだろう』と思うようになったんだ。そして、『父親に女がいてもどうでもいいやん』と、思うようになっていた。
いつのまにか家族にも優しくなった。そして、できたら旅行会社に就職して、いろんな旅行を企画したくなった。たくさんの人に旅の楽しさを伝えたいと思うんだ」
その気持ち分かった。
海を見て、「広いなあ」と思った時、古い建物を見て歴史を感じた時、わたしも、小さなことなんてどうでもよくなる。
わたしの旅好きは、18歳の時に始まった。
行きたい大学に行けず、かなり挫折していた。
でも、その大学で友人ができて、一緒に旅行することになった。
「安く泊まれる」と聞いて、ユースホステルの会員にもなった。
JR(当時は国鉄)の周遊券を買った。
歴史好きのわたしは、萩・山口ツアーを企画した。特急券を買うお金もなく、列車を乗り継いでの旅だった。