富山駅はいまだに工事中である。在来線の「あいの風とやま鉄道」上り線とJR高山線のホームである1~3番線が4月中旬に高架化されたものの、あいの風とやま鉄道下り線の4~6番線は地上部に残されている。高架化が終わるのは3年後で、それまで駅の構内は複雑な構造のままだ。高架下の歩行者通路や車道、路面電車の軌道の整備、富山地方鉄道の高架化なども順次進められており、すべてが終了するのは2023年。金沢に遅れること“17年”の差はかなり大きい。
従来の駅舎への乗り入れではなく、新幹線駅を新たに建設した富山県内のほかの二つの駅は工事こそ終わっているが、「まだまだ」の部分は少なからずある。高岡市民は「お土産なら新高岡駅ではなく、高岡駅で買った方が品ぞろえは豊富」と語る。富山県東部の県民は、「黒部宇奈月温泉駅」について「フル規格新幹線の駅名としては日本一長い文字数であり、ちゃんと覚えてもらうのが大変だ」と悩みを明かした。
そもそも、石川と富山の駅周辺の整備状況に、なぜ大きな開きが生まれたか? いろいろな声がある。ある富山県人は、「北陸は何でも金沢主導で進む。新幹線駅の整備もそうではないか」と推測する。また、百万石の加賀藩本家と分家である富山藩の本気度の差と言えなくもない。また、分家は本家の方針をうかがい、倣って進めようとしたとも考えられる。
富山県の観光業界からは「現在の富山駅はまだまだ未完成。観光客の意見を積極的に取り入れ、観光地として育てていただきながら完成形を目指すべきだ」との意見もある。観光客の数は本家・石川に遠く及ばないものの、伸びしろはあるというのが分家・富山の希望である。
富山観光の目玉となる立山黒部アルペンルートは4月16日に冬季閉鎖を終えてやっと全線開通したところ。富山県人曰く、「これからが本番」である。