即席めんにゴキブリ、デザートにプラスチック片、ポテトには人の歯、ビニール片が見つかったのはチキンナゲット、そして肉じゃがからはなんとコオロギが。ほかにも金属片、金属製ネジまで……。
もう何でもありの様相を呈している。食品への異物混入が相次いで発覚し、いまだに後を絶たない。表面化していない事例もあり、実はもっと多いはずとの指摘もある。
私たちは食への安心と安全、信頼をどう考えたらいいのだろうか。そもそもなぜ今、異物混入が増加しているのか。
食の安全に詳しい食品問題評論家の垣田達哉氏が解説する。
「増えたのではなく、これまで隠れていたものが表面化しただけです。SNSなどの発達によって表に出やすくなったのです。東京都だけでも、今まで年間500件以上の異物混入がありました」
財団法人食品産業センターによると、異物混入などによる自主回収は、年間1000件にもおよぶという。では、過去にどんな異物混入があったのか。同センターの「食品事故情報告知ネット」で最近の異物混入を見てみると――。
●ミネラルウオーターに細菌が混入(2014年11月)
●秋鮭の加工品に金属片が混入(2014年11月)
●缶詰に使用基準を超える保存料を使用(2014年12月)
●そばめしにプラスチック片が混入(2014年12月)
●生食用かきに基準値以上の大腸菌が混入(2014年12月)
●豚ひき肉に金属片が混入(2015年1月)
●マーマレードに黒い大きなガラスの破片が混入(2015年1月)
ごく最近の事例だけでも、枚挙にいとまがない。上記はいずれも、ケガや食中毒などに繋がりかねない例である。場合によっては命に関わってくることも考えられる。消費者庁の「リコール情報サイト」の食料品の欄にも、異物混入などによる回収の情報がある。
「こうした事故はほとんど知られていないだけで、日々起きているのです。そういう前提に立って、私たちは注意深く食品とつき合わなければいけません。特に小さな子どもやお年寄りが口にするものには、細心の気配りが必要です」(垣田氏)
異物が目に見えるものであればまだ注意もできるが、大腸菌や基準をオーバーした保存料などとなると対処の仕方が難しい。異物混入時代―。異変を察知する能力が問われている。
(ジャーナリスト・青柳雄介)