■毎回、描き方を忘れる!?
羽:あの……、マンガって毎回、描き方を忘れませんか?
ヤ:えっ!?
羽:提出すると、次の原稿に取りかかる時、マンガってどうやって描いてたっけ? って毎回分からなくなるんですよ。だから制作プロセスを箇条書きにしてあって、まず机を片付ける、前回の資料を目の前に並べて読み返す、刷り出しを見る、ってやっていくと、だんだん思い出していきます。
ヤ:羽海野さんは一つ一つ確かめながら描くんですね。見習いたい。
羽:私は心配性すぎるので、たぶんそういう描き方になっているんだろうなあとは思うんですけれど。
ヤ:私は気合いが入りすぎちゃって、自分で描いたネームなのに全く読めないことがあります。
羽:どうするんですか!?
ヤ:その時の自分の感覚でやっています。そのアバウトさに比べると、羽海野さんはものすごくきちんと緻密に考えて、描いていらっしゃるから……。
羽:でも、マンガって作者の性格で描くものなので、正解は一つじゃないんだなと思って。マリさんと私、それぞれの性格に沿ってマンガを描けば、自然と違うタイプのマンガが生まれるじゃないですか。行動力があってポジティブな人のマンガと、考えすぎな人のマンガと。だからいろんな人がマンガを描くと、いろんな作品が読めるので楽しいなぁと。
■グルメマンガとしての『3月のライオン』
ヤ:私にとって、『刑務所の中』とか『孤独のグルメ』とか、いくつか超刺激性の強いグルメマンガっていうのがあるんですけれど、『3月のライオン』もやばいですね! あの3姉妹の食欲というか甘いもの欲というか。
羽:甘いもの、しょっぱいもの、甘いもの、しょっぱいもの……。
ヤ:甘味屋でトッピングをどんどん追加していく、あのシーンとか(注4)。私、あそこで悶絶しました。だって、食べたくてもイタリアで食べられるわけないじゃないですか。
羽:シカゴにお住まいの時は辛そうでしたね、「ピザしかない」って……。