橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」が運営する維新政治塾の入塾式(第2期)が6月23日、大阪市内で大々的に行われ、晴れて入塾を許された約900人の塾生を前に、石原慎太郎東京都知事らが講師として熱弁を振るうなど、華やいだムードに包まれた。だが、この維新塾の運営を巡り、維新の会で内紛が勃発していたのだ。
それは、6月17日に大阪市内で行われた全体会議でのこと。維新の会が次期衆院選の公約とする「維新八策」の公表について議題が移ったときだったという。
橋下氏が「7月7日までにブラッシュアップした『維新八策』を先生方にお渡しするのでそれを見てください」と発言した。
一人の議員が「それを見て意見を言わせてもらったらええんですか?」と尋ねると、橋下氏はにべもなく、こう言い放った。
「先生方が維新八策を見るときは、もうメディアに公表されるときですから」
議員が「それはどういうことですか?」と聞くと、橋下氏はこう言った。
「いや、個々に事前に見せると、また、いろいろと情報が流れる恐れがあるので、政治的な配慮です」
それを聞いたある議員は席上、皮肉を込めてこう発言したという。
「ようわかりました。それじゃあ、見せてもらわなくて結構です。ただし、われわれ議員が新聞で維新八策を知る、ということだけは、勘弁してくださいよ」
会議場からは失笑が漏れたという。会議に出席した議員がこう解説する。
「うちは北朝鮮並みの橋下独裁ですわ。執行部は以前、たたき台の段階で維新八策を見せると約束したが、2月に先に新聞に出てしまい、僕らは新聞で内容を初めて知った。八策を練っているのは浅田さんと大阪市議団幹部で、他の議員はほとんどタッチしていないから、マスコミに情報を流したのはどちらかでしょう。その事情を知っているはずの橋下さんは、八策づくりに関係していない議員にも注意した。お門違いだから、嫌みで言い返した」
※週刊朝日 2012年7月6日号