2人の女性との結婚と離婚により、18人の子供の父親だったこともあるビッグダディ、そのうち13人の子供の名前をダディ自らが命名している。本誌は睨(にら)んだ。必ずやそこにビッグダディ独自の名づけ哲学があるはず。ならばダディ本人に直接聞こうじゃないか! 岩手県盛岡市に住むダディの営む整骨院を訪ねると、手ぬぐいを巻いた頭に作務衣(さむえ)というおなじみのスタイルで、にこやかに迎えてくれた――。
**(以降ダディ語り)**
長女の愛美(まなみ)が生まれたのは、ちょうど天才チンパンジー「アイちゃん」が話題の頃だったんです。漫画の「愛と誠」だったかなあ……、前々妻の佳美は主人公の愛を気に入っていて、「子どもに『愛』と名づけるのが夢なの」と言っていました。ただ、いくらなんでもチンパンジーと同じ名前はいかがなものかと。それで「愛」の下に嫁の一文字「美」をつけて「愛美」としました。これが、女の子の2文字目に「美」とつけるようになったキッカケです。
それからはもう簡単なものです。そもそも俺は、生まれる前に子どもの性別を聞きません。たとえば四女の都美(ととみ)。女の子が生まれたと聞いて、「女だから下の文字は『美』だよな。ええと『美』な……、とと美、都美だ!」といったような具合ですから。
また、次男の熱志が生まれた時、俺は借金を抱えていました。だから小林旭の「熱き心に」という歌を聴きながら、「よし! こういう気持ちで借金に立ち向かおう」と思い名づけました。
顔と一緒で名前も見た目は大事。長女の愛美は「愛」に「美」、次女の柔美は「柔」に「美」、どうです? 悪くないでしょ。顔を見て「人がよさそう」「ずるそう」と思うように、名前も見ただけで「そこはかとなく」伝わるんです。
懸賞・漢字パズル「みんなの漢字」(偶数月2日発売 朝日新聞出版)
9月号より
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=15143