作家・室井佑月氏は、厚労省がTwitterで番組を名指しで批判するも、番組側に反撃されると主張内容を二転三転させた一件を取り上げる。
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3月6日、政府は参院予算委員会の理事懇談会で、安倍首相が新型コロナウイルス対策として小中高校の一斉休校要請を決めた会議の「議事録はない」と野党に伝えた。こういうの無秩序国家というんじゃないの。
安倍政権がいちばんはりきっているのは、情報統制だ。安倍政権の新型コロナウイルス対策とは、国民を守りたいための対策ではなく、自分たちを守りたいための対策だ。
2月29日、安倍首相は会見で、「かかりつけ医など身近な医者が必要と考える場合は、全ての患者が検査を受けられる十分な能力を確保する」と表明したはずなのに、3月3日の参院予算委員会では、希望者全員が検査をできるかどうかについて、「今すぐにできるということは全く申し上げていない」といった。
会見で、「全ての患者に十分に」と言い切ったわけで、テレビでもそこが大きく取り上げられていた。てことは、安倍首相はデマをいったのか?
また、こんなこともあった。厚生労働省が3月5日、公式Twitterで、4日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)を名指しで批判したのだ。
批判の対象となった4日のモーニングショーは、医療現場のマスク不足についてだった。
ちなみに、「3月4日午前8時からの『羽鳥慎一モーニングショー』の出演者から…」とはじまって、内容はこういうものだ。
「厚生労働省では、感染症指定医療機関への医療用マスクの優先供給を行った」
「都道府県の備蓄用マスクの活用や日本医師会や日本歯科医師会のルートを活用した優先配布の仕組みをお知らせしています」
名指しで国から批判されたら怯(ひる)むものだが、モーニングショーは怯まなかった。
6日の放送で、北海道、神奈川県、北陸、九州、東海地方の医療機関に再び取材をし、マスクがどうなっているのかを聞いた。結果、届いたというところと届いていないというところがあった。そして、すべての現場で足りなかった。