舞台への意識も変わった。
佐藤:舞台、最初は毛嫌いしてたんです。事務所にも舞台とミュージカルはやりたくないって表明していた。完全に食わず嫌いだったんですが、ミュージカル「忍たま乱太郎」のお話をいただいて出させてもらったら、ダイレクトにお客さんの反応を感じられる舞台の魅力や奥深さを知って、自分もやりたいと思うようになった。「四の五の言っていられない」「蜘蛛の糸のように掴(つか)めるものは掴みたい」という思いにも、ようやくなったというのもありました。
その後、ミュージカル「テニスの王子様 2ndシーズン」という大舞台で役を掴んだ。だが、キャスティングが発表されると、原作ファンからは「イメージと違う」と大バッシングを受けた。
佐藤:本当に叩かれましたね(笑)。落ち込みました。正直、俺、メンタルはすごく弱いんです。普通の人より落ち込むし、本当に悲しくなりました。でも、対外的には虚勢を張るのが得意なんです。だから、平気な顔をして稽古に参加したら、バッシングを受けていたのは俺だけじゃなくて、財前のチームメイト、四天宝寺中学のキャスト全員が同じ状況だとわかった。それで逆に「よっしゃ見返してやるぞ!」って一致団結できたんです。
自分たちがアドリブで芝居をする日替わりコーナーを任されると、俺が毎回ネタを考えました。自分のギャグでお客さんが笑ってくれると本当にうれしかった。俺たちが演じてよかった、意味があったと肯定してもらえたような気がしたから。
熱い思いは観客にも通じ、やがては財前というキャラを超えて佐藤流司という役者の人気に火がついた。次々に人気舞台に出演したが、さらに人気を一段押し上げたのが「ミュージカル『刀剣乱舞』」への出演だった。
佐藤:自分にとっては芝居への向き合い方、闘い方が変わった現場になりました。演出家の茅野イサムさんという方がホントに厳しい方で、初日に「見た目で芝居をするな」と言われて、今まで体験したことないくらいけちょんけちょんにされました(笑)。