漫画やアニメ、ゲームなどの人気キャラクターを現実の世界にみごとに立ち上げてきた。意外にも「メンタルは弱い」が、「難しいほうが楽しい」と語る。透けて見えるのは、芯の強さだ。AERA 2020年3月23日号から。
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ミュージカル「テニスの王子様 2ndシーズン」では超クールな財前光。ライブ・スペクタクル「NARUTO─ナルト─」では主人公ナルトの宿命のライバル・うちはサスケ。「ミュージカル『刀剣乱舞』」では沖田総司の愛刀・加州清光……。いまをときめく2.5次元界の旗手の一人だ。表現する醍醐味を自分の言葉で率直に語った。
佐藤流司(以下、佐藤):2.5次元は、いかに自分を捨てて役に完璧に染まれるかだと俺は思っています。原作とか設定集とか資料は全部読み込みますし、アニメがあれば立ち姿も参考にします。ゲームやアプリもできるものはすべてやって、自分の中に情報をインプットした後で、台本と照らし合わせるんです。そこからキャラを立ち上げていく。のびのびと自分のお芝居ができる状態とは全然違います。でも、縛りがあるなかでどうやって見せていくかが面白いんですよね。がんじがらめだから、面白い。2.5次元は役者とキャラクターの二人三脚で初めて成立できる世界なんです。だから、「人気がある」って言っていただくのは本当にうれしいんですけど、勘違いしないように自分に言い聞かせてもいます。俺の人気じゃなくて、キャラの人気がまずある。それは忘れちゃいけないなって。
人気にあぐらをかくことなく、冷静に自分を見る。だが、デビュー当時はまったく違った。
佐藤:事務所に所属してすぐ「仮面ライダーフォーゼ」でデビューできたのもあって、演技のレッスンなんて必要ないと思っていました。根拠のないダメな自信があったんですね。ドラマの現場でも他の俳優さんと肩を並べてやれてるつもりでいました。でも、DVDで見返したら、想像していた自分の演技と違い過ぎて……もう、見ていられなかった。ああ、自分は凡人なんだ、お芝居って稽古しないとうまくならないんだなぁと思い知らされました。それで意識が変わった。発声練習とか基礎から始めて、いろんな作品を観て。早い段階で、自分は天才ではないと気づけたのはよかったです(笑)。