著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回は、ヴァイオリニストで作曲家の川井郁子さんおすすめ「イタリア料理 おかだ」の「黒トリュフのパスタ」だ。
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今年5月にアルバムデビュー20周年を迎え、コンサートで各地を旅する予定です。そんななか、私のパワーの源は中学生の娘との時間。近頃は親子というより、何でも語り合える女友達のような関係になってきました。
こちらは、誕生日などの記念日にふたりで出かけるイタリアン。娘と入りやすいカジュアルな雰囲気ですが、お料理は野菜も肉も素材が吟味されていて、とても質が高いのでいつも驚かされます。
このパスタは、私たちにとっての「ごほうびパスタ」。普段これだけトリュフを贅沢にいただくことはありません。細い手打ちの麺に極上の香りが絡んで至福の時間が生まれます。季節によってトリュフの種類が変わるので、味の変化が楽しめるのも面白いですね。娘はこの店でトリュフを初めて食べた時、目がハートマークになり……それ以来、はずせないメニューとなりました。最初はシェアしていたのですが、いつの間にかふたりとも“別腹”になり、ひと皿ずつ頼むこともあります(笑)。
「イタリア料理 おかだ」住所:東京都渋谷区神山町7-12 太田ビル1F/営業時間:18:00~24:00(土日祝~22:00)/定休日:月
(取材・文/沖村かなみ)
※週刊朝日 2020年3月27日号