企業の変化に応じて、大学や学生の動きにも変化が起きている。

 就活真っただ中の3月中旬。例年多くの学生が出入りする立教大のキャリアセンターはがらんとしている。ヘッドセットをつけたカウンセラーは一様にパソコンを見つめ、表情豊かに話しかける。画面の向こうには学生が座り、就活の悩みを打ち明ける。

 同大では感染対策として対面による相談に代えて、ビデオチャットツール「Zoom」を使ったオンラインカウンセリングを導入した。キャリアセンターの阿部通明課長は言う。

「実家に帰省中の学生も利用できるため、相談者の幅が広がりました。近年では企業のウェブ面談も増えているので、その対策にもなっていると感じています」

 東京女子大でも、新型ウイルス対応としてオンラインキャリアカウンセリングサービスを試験導入している。チャットを開くと、就活に関する疑問が選択式で表示される。一つひとつタップすると、自動応答が可能なチャットボットが回答してくれる仕組みだ。

 サービスを開発した岡崎浩二さんは言う。

「込み入った質問はオペレーターが対応し、それ以外はチャットボットが回答します。現在オペレーターは1人ですが、同時並行でやり取りできるため、1週間で100人の相談に応じることができました」

 オペレーターの稼働は週3回、1日2時間と限られているが、チャットボットもあわせると、1週間で3万3千通のやり取りがあった。

 前出の東女生も週2回ほどサービスを利用している。

「オペレーターからすぐに返信が届き、不安や迷いを解決できます。面接前にはチャットボットを使って準備しました。その面接は無事通過し、次回最終面接に呼ばれています」

 ボットとのやり取りは画一的になってしまいそうだが、同大によれば学生からの満足度は、5段階中4.8と高いという。(編集部・福井しほ)

AERA 2020年3月30日号より抜粋