新型コロナウイルス感染拡大の影響は就活にも及ぶ。合同説明会は中止になり、ウェブでの採用活動が中心に変化している。AERA2020年3月30日号は、オンライン化した就活の実情をお届けする。
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大学で配られた“就活手帳”はいつの間にか修正テープだらけになっていた。
「行くはずだった就活行事はほとんど中止になりました。合同説明会で広く業界を見たいと思っていたので困っています」
そう肩を落とすのは、関西の大学に通う学生(21)だ。3月1日午前0時、就活解禁と同時に友達との間で話題になったのは、新型コロナウイルスへの懸念だったという。
新型ウイルスの感染拡大を受け、企業の採用説明会やセミナーの中止も相次いでいる。大手人材広告会社のマイナビとリクルートは3月中に予定していた新卒学生向け合同企業説明会の中止を決定。
マイナビが6日に発表した調査によると、就活生の82.9%が「就活に影響がある」と回答した。政府が不要不急の外出を控えるよう要請しても、就活が待ってくれるわけではない。
いま、急速に拡大しているのがオンライン上での採用活動だ。東京女子大に通う学生(21)は参加予定だった説明会の大半がウェブに切り替わったという。この学生は言う。
「30社ほど予約して、予定通り説明会が実施されたのは3、4社。コロナの影響を感じています」
オンライン化を進めたい企業を後押ししようと、ウェブでのセミナー(ウェビナー)を運営する「コクリポ」など3社は「Webシューカツ推進委員会」を立ち上げ、ウェブ面談や説明会のツールを一部無料開放した。
「大手IT企業や保険会社など700社が賛同しています。ウェブ説明会は入退室も自由なので、気軽でいいと好評です」(コクリポの担当者)
デジタルツールの活用は企業にとってもメリットがある。アンケート機能で学生とコミュニケーションをとったり、入退室のログから関心が途切れたポイントを探って次に生かしたり。これまで可視化されなかった学生の声を拾うことで、効率よく採用に取り組めるようになる。