鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中
鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中
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 放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。前回に続いて「妻が出張中の出来事」を綴ります。

*  *  *

 妻が5日間仕事で家に帰れず、僕と4歳の息子・笑福(えふ)だけの5日間。

 2日目、息子を保育園に送り、僕は仕事をこなす。そして、夕方迎えに行く。帰り道、僕が迎えに行った時にはコンビニに寄るのを息子は楽しみにしている。家に帰り、その日は、僕の友達を家に呼んだ。笑福が何度も遊んだことのある友達で慣れている。夜までいてもらい、帰った後に、笑福とお風呂に入り、早めに寝室へ。「よし、寝よう」と言って、ベッドに入る。そこまでは笑顔だったが。電気を消すと息子はいつも妻が寝ている方を見る。そこにママはいない。笑福が目をこすり始めた。もしかして?「笑福、泣いてる?」と聞くと、笑福は「うん。寂しい」と言った。こらえきれず、2日目の夜は、泣いてしまった。それでも、堪えようとしている涙。そんな笑福を抱きしめて背中をさする。父親の僕は母親の代わりにはなれない。20分ほど小さく泣いていたが、気づくと寝てくれた。

 3日目は、保育園を休ませて、笑福を僕の仕事場に連れて行った。連れて行ってもいい環境だったので、とても楽しそうにはしゃぐ。月に1度とか、こうやって、親が自分の仕事場に子どもを連れて来れたら素晴らしいことだと思う。子どもは父親の働く姿を見て、手の空いてる人が一緒に遊んだりする。こういうことを導入している会社もあるのだろう。もっと増えるといいなと思ったり。

 仕事を早めに終えて、夕方から、笑福が待ちに待った仮面ライダーのおもちゃを買いに行く。「ママがいない時に頑張ったら、買ってあげるね」と言っていたので、笑福はこの日をモチベーションに頑張っていた。テンションが高い。

 その日も、友達に家に来てもらい、みんなで楽しく過ごしたのだが、友達が帰るときにすごく寂しそうな目をしていた。笑福は家でYouTubeを見るのが大好きだ。友達が帰ってからも、ずっと見ていたので、途中でやめさせて、お風呂に入って、ベッドに入った。

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鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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息子だって戦っているのだ