時間は夜10時。電気を消して寝かせようとする。背中を撫でたり、お話をして、30分くらい粘ったが、寝てくれず。すると笑福が泣き始めた。昨日の泣き方とは違う。「ママー、ママー、ママー」と、大きめの声で泣き始めて、むせて、嗚咽までするようになってしまった。そして大きな声で泣きながら「ママーーーーー」と。泣きのMAXだ。

 ママがいないベッドで電気を消すと不安になるのだろう。僕が「寂しいんだよな」と言うと嗚咽しながら「うん」と言った。僕が「わかった! 笑福、今日は、もう納得するまでYouTube見ていいから」と、リビングに連れていき、テレビを付けた。

 笑福は泣きながらもYouTubeで好きなものを見る。時折笑うが、一瞬で泣きモードになりそうな雰囲気はある。息子も、寂しさを紛らわすために見ているし、必死なのだ。

 僕はとことん付き合うことにした。息子だって戦っているのだ。一時間ほど経っても、まだ見ている。ここでベッドに連れていくと同じ事になるので、笑福が寝落ちするまで横で待つことにした。夜10時半から、笑福が寝落ちしたのは夜中の2時。疲れ切って寝た感じだった。そんな笑福を抱きかかえてベッドに連れていく。

 僕もくたくたになりながら、笑福を寝かせて、今度は机に向かって自分の仕事をした。こういうことを毎日繰り返しているお母さんは沢山いる。経験しないとわからない側面って沢山ある。笑福の寝顔を見て、改めて、母親のすごさを実感した。ありがとう。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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