「2020」向けに建設されたハコモノが抱える問題点が改めて露呈している (c)朝日新聞社
「2020」向けに建設されたハコモノが抱える問題点が改めて露呈している (c)朝日新聞社
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 新型コロナウイルスの感染拡大で揺れる東京五輪・パラリンピック。1年程度の延期に伴う追加費用は3千億円ともいわれ、その負担が難題として横たわる。同時に、「2020」向けに建設された競技場など、ハコモノが抱える問題点が改めて露呈している。

 東京・晴海のベイエリアに整備された選手村は大会後に改修され、マンションとして一般分譲される予定だ。新たに建設する50階建て2棟を合わせ、計約5600戸のマンション群になる。すでに940戸を販売し、2023年3月が入居予定だ。

 しかし、延期によって引き渡しが遅れれば購入者の生活に影響を及ぼし、補償問題に発展しかねない。それどころか、これから購入希望者が激減する可能性もある。

「新型コロナによる世界的な景気後退は深刻で、資金力がなくなってマンション購入を断念する人が続出するかもしれません。実際、中国人富裕層が投機目的で購入している物件がありますが、今後はそれも見込めなくなる」

 建築エコノミストの森山高至氏が、そうした懸念を示す。

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