元本保証。1年間で預けたカネが5倍―――そんなオイシイ話には裏があるものだが、大の大人たちが大学生に一杯食わされたという疑惑が持ち上がっている。「株の売買」名目で集めた資金は、実に7億円とも言われる。それが焦げ付いて、現在、海外逃亡中だというのだ。
被害者のうち3人は4月、この大学生と会社に対して約3千万円の貸金返還を求めて民事訴訟を起こした。
「知人から慶応大2年(当時)のAを紹介されたのは昨年2月。2千万円近く投資しましたが、今年2月から連絡が取れなくなった」(原告の一人で横浜市に住む30代自営業者のB氏)
Aは投資家らに「自家用ジェットで16億円運んだ」「英国人から2億円預かり、2年で20億円にした」など"どデカイ"話をし、次々に落としていった。
もっとも、A自身にそんな豪快な印象はない。
「細身で、見るからにまじめそうで、学生にありがちなチャラチヤラしたところがない。それも信用させる一因だった」(B氏)
「一言で言えば、ネタラな機械オタク」(Aの同級生)
まさに地味な大学生といったところだが、さすがにカネがあるだけに遊び方は「半端なかった」ようだ。
「Aは酒は弱いが、シャンパンばかり頼んでいた。お気に入りは最高級品のクリユッグかクリスタルで、〝シャンパン王子″と言われていた。友達の誕生日会をキャバクラで開き、一晩で200万円使ったとか豪快な話もしていた」(Aの知人)
しかし―――と、この知人はAから垣間見えた"ほころび"を指摘する。
「投資家の問では『貧乏臭い』と言われていた。服装はコテコテの高級ブランドのワンパターンだし、高級外事も型落ちの中古車で意外とセコい。父親に自分のマイバッハの運転手をさせていたほどだから、育ちは裕福ではなかったのかも。靴の裏に穴が開いていることもあった」
※週刊朝日 2012年6月8日号