「これだけのネット時代になっても“良い学校に行くにはお金がかかる”、“情報は首都圏や大都市に集中して地方には届きにくい”という格差はいまだに存在しますし、ますます広がっている印象すらあります。僕が教えている英語では近年さまざまな試験形態が大学受験に導入されています。例えば、上智大学を受験する際には『TEAP』(=英語運用能力測定試験)を活用する方法もあるのですが、ある地方都市の学校で講演を行ったところ生徒さんどころか、先生方ですら『TEAP』のことをきちんと理解できていませんでした。そうした試験形態があることは知っていても、実際にどういった内容でどういう問題が出題されるのかといった細かい情報は届いていない。そもそも『TEAP』に関しては試験会場すら地方にはないですからね」

 「ただよび」は大学受験を取り巻くこうした格差の解消を目指す新たな試みとして始動し、4月6日から約10分間に及ぶ授業の動画がYouTubeにアップされた。

 予備校の授業というと、60分や90分単位のイメージもあるが、森田氏はこう続ける。

「今の子供たちには60分や90分の授業は長いと思います。実際、予備校が行っている映像授業なんかも、1.5倍速で見るのが受験生の間ではデフォルトになっていますからね。集中力が持続する10分くらいを1本の動画の区切りにした方がいいかな、と。そのぶん、更新に関しては最低でも月曜日から金曜日まで。できれば毎日更新したいですね」。

 講義の内容については、最初の数ヵ月間は基本的な英文法から講義していくことになるという。

「大学受験生はもちろん、英語を基礎から学びたい、英作文を鍛えたいという高校1年生や2年生にもお勧めです。その後はレベルを上げたものも出していきたいので、高校英文法を学び直したいとか、英語をしゃべれるようになりたいとか、英文を書けるようになりたいといった社会人の方にも見ていただきたいです。あと、英語4技能試験の実施は延期になったのですが、大学入学共通テストにリスニングが入るので、リスニングの成績アップにつながるような授業もできたら」

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教育系YouTuberが失敗した理由