林:そうだったんですか。想像できません。
アン ミカ:母が私に「大人になって本当の美人は、目鼻立ちがきれいな人じゃなくて、一緒にいて心地がいい人なんだよ。心地いい美人になるための魔法をかけましょう」みたいな感じで楽しくレッスンをしてくれたんです。その一つが笑顔で口角を上げる練習で、それをリハビリも兼ねてやってたんです。それで手術をしないで口が治ったんです。いまだに上唇をベロッと上げられるんですよ。こうやってグイッとやると……。
林:あ、ほんとだ。
アン ミカ:小さいときの写真は、それはそれはブサカワイイというか、今とぜんぜん違ってました。
林:いつごろから「カワイイね」とか「きれいだね」って言われるようになったんですか。
アン ミカ:ぜんぜん言われなかったです。うちの家はラーメン屋でしたし、モテるとか恋愛とかとは無縁でした。
林:へぇー、そうなんだ。
アン ミカ:私、髪を結ぶのが嫌いで、小学校のときサッカーやってたんですけど、髪をバッサバサにしてサッカーやったり、学校中に「タラコ唇髪ボサボサ 見かけたら連絡を」みたいな指名手配のビラを貼り出されて……。
林:いじめじゃないですか。
アン ミカ:いじめと言えばいじめなんですけど、いじられキャラだったんです。中学のときも、陸上やってたのであだ名が「カール・ルイ子」って言われるぐらい真っ黒だったんです(笑)。キャラが強くて、モテる対象じゃなかったんですよ。
林:モテ始めたのは高校ぐらいからですか。
アン ミカ:高校も髪を結ばず校庭を走り回ってるという感じでした。私服の学校だったんですけど、服を買うお金がなくて、生地屋さんで生地を買って、雑誌「装苑」の後ろのページのパターンを見て、親戚がミシン工場にいたので、自分で縫ってすごく変わった服を着ていってたんです。布を頭に巻いたりとか。
林:「装苑賞」をもらうような服ですね。
アン ミカ:そうです。服飾専門学校の子みたいな格好で学校に行ってたので、本当にモテるとかとは無縁の子でしたね。モデルもやってたんで、変わったキャラだったんです。