「宮内庁だからマスクが特別に手に入るわけではありません。ガーゼを重ねたマスクを洗って再利用するなど、できる範囲で努力しています」(前出宮内庁関係者)

 宮内庁では時差出勤も行うが、「実際、早く出勤しても定時にも帰ることができない」とこぼす人もいるという。

 それでも、皇位継承順位1位と2位の秋篠宮さま悠仁さまのいる秋篠宮家は一部の職員によるリモート体制や出勤の人数を抑えるといった対策が取られたという話も伝わる。

 4月に入ると両陛下や皇族方の活動も、お住まい御所や宮邸での執務やご進講、宮中三殿での祭祀などに限定されてきた。 

 4月7日夜に安倍首相が緊急事態宣言を発令すると、事態は一気に動いた。9日には菅官房長官が「立皇嗣の礼」のさらなる縮小を口にしはじめ、10日には、ついに「延期の方向で調整」の見通しとなった。

 この日、両陛下は新型コロナウイルスに関する専門家の説明を受けている。ここでもある変化があった。

「驚いたのは、マスク姿で説明を受ける両陛下の動画と写真を宮内庁が公表したことです。3月末に、仙洞御所に入る上皇ご夫妻が初めて奉迎の人々にマスク姿をみせましたが、公務中の両陛下や皇族方がマスク姿で人に会うということは、これまでほとんどありませんでした。天皇陛下や皇族方へのコロナ対策はどうなっているのか、という声を意識したものでしょう」(前出皇室ジャーナリスト)

 5月27日で調整されている春の園遊会もまだ中止の発表はないが、実現は難しいだろう。日常の生活に戻ることができる日を、誰もが願っている。
(本誌 永井貴子)

※週刊朝日オンライン限定記事