一方、行政処分を下した消費者庁の担当者は、個別の事例についての言及は避けつつも、
「今回摘発した4社の中には臨床試験を行った商品が(いくつか)あったものの、結果と表示がまったく対応していないんです。短い期間で痩身効果が出たようにみせて、実際は期間が短かったり。あとはモニターの数としてのサンプルが少ないなど、根拠に乏しいものばかりです」
と手厳しい。担当者は杉村氏のCMは確認したというが、
「調査をしていないので、(違反があったかは)なんとも申し上げられない。対象にならなかったのは、単に古いからです。われわれは、より新しいものを優先的に調査します」
と答えた。だが、そのうえでこうも指摘するのだ。
「1カ月という『短い期間』で『ウエスト10センチ以上減』というのは強い訴求力があるため、どちらも根拠がないといけません。視聴者は同様の効果を得られると思ってしまいますから。『効果には個人差があります』と小さく打ち消し表示をしたところで、大丈夫ということにはならない。効果をうたうのであれば、サンプルを増やすなどしてしっかりした根拠を示してほしいですね」
たまたま、調査の「期間外」だったがゆえに行政処分はまぬがれたが、杉村氏のCMも宣伝手法としては限りなくグレーだろう。
最後に、杉村氏に「あれほど絶賛していた商品なのだから、もちろん今も使っていますよね」と水を向けると、
「それについても商品のことなので、お答えできないですね……」
では、商品を離れて。議員時代のスーツは、今でも入りますか。
「ウエストについても、プライベートなことなので…」
いつもの威勢のいい「薄口」は聞かれず、終始言葉数は少なかった。
コロナ禍でジムが休業中の今、室内トレーニングをしようと通販で健康グッズを買う人も増えるかもしれない。だが、そこに消費者を惑わすような「誇張」があっていいはずはない。
杉村氏にはその高い発信力をぜひ大事に使ってもらいたいものだ。(橋本浩史/AERAdot.編集部・飯塚大和)