その圧倒的な存在感ゆえ、どこか近寄りがたい雰囲気を持ち、ミステリアスでアンニュイとも評される。だが取材の場ではうってかわって、無邪気な笑顔を見せてくれた。AERA 2020年4月20日号で、映画に対する愛情を語った。
【写真】美しすぎる…蜷川実花撮影でAERAの表紙を飾った小松菜奈さん
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小松菜奈(24)と菅田将暉(27)がW主演する映画「糸」は、1992年に発表された中島みゆきの同名のヒット曲をモチーフにしている。
平成元年に生まれた小松演じる葵と、菅田演じる漣。2人は13歳のときに北海道で出逢い、互いに惹かれ合うが離れ離れになり、さまざまなすれ違いの末、平成の終わりに再び出逢う。この映画はその18年間が描かれた物語だ。
2人がそれぞれに出逢う人々とのつながりもまた、重要なテーマとなっている。
小松菜奈(以下、小松):「糸」という曲には、人生において大切なことが、ぎゅっと凝縮されていると感じました。縦と横の糸によって布が織られていくように、人と人が出逢うことで繋がっていくという歌詞は、私自身の人生にも重なります。今回も、いろんな縁が重なって「糸」という作品が生まれました。共演者には、菅田さんをはじめ過去に共演したことのある方も多いんです。不思議だな、面白いなって思います。
小松演じる葵は養父から虐待されるなど、複雑な過去を持っている。だが、北海道から東京、沖縄、シンガポールへと舞台を移すたびに自分の世界を広げていく。
小松:私は20代から30代の葵を演じましたが、時間を経るなかでどのような変化を見せればいいのかは一つの課題でした。メイクや衣装などの外見で表現することはできますが、彼女の内面はどのように変わっていったのか。それを考えたとき、生きていくうえでの「覚悟」みたいなものは変わっていくけれど、性格はそう簡単には変わらないと思ったんです。
葵の生い立ちは複雑ですし、精神的に不安定な時期もあった。大人になってからも人に裏切られています。それでも夢を叶えようと努力するなかで、彼女は色々な景色を見てきたと思うんです。葵が夢に近づくにつれ笑顔を増やし、堂々と演じたい、そう思いました。地に足をつけて踏ん張ってきた葵らしく、自立した一人の女性としてちゃんとスクリーンに映ればいいな、と。