ロンドン五輪まであと2カ月。ロサンゼルス大会以来、28年ぶりのメダル獲得を目指す日本女子バレーだが、モントリオール五輪で、「コイの滝登り」と名づけられた応援で優勝に導いたオリンピックおじさんこと山田直稔さんが当時を振り返る。
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ミュンヘン五輪の男子バレーを三三七拍子で優勝に導いた私は、モントリオールでは同じことはやりませんでしたよっ。「コイの滝登り」で「新・東洋の魔女」たちを元気づけました。
タイムアウトを利用するんだね。右手に日の丸の旗、左手に扇子を持つ。まず「ピィーーッ、ピッ」と笛を鳴らして、注目を集める。そして両手を上げたり下げたりしながら、「ピッ、ピッ、ピッ......」と、だんだん笛を吹く間隔を短くしていって、「ピィーーーー、ピッ」と止める。最後は両手を上げて体を後ろに反らせながら、コイが滝を登りきるイメージで「ワーーーツ」と叫ぶの。バレーは最も応援の効果がある種目だね。タイムの間に盛り上げると、選手にそのまま勢いが乗り移るんだから。
日本の女子はコイが滝を登るように、勢いよく念願を果たしてくれました。メキシコの決勝で負けてから8年、見事に借りを返した瞬間に立ち会えて、何とも言えない喜びをかみしめたよね。
週刊朝日 2012年6月1日

