5月22日、東京の新名所「東京スカイツリー」がついにオープン。ツリー特需に沸く商店などがある一方で、下町に現れた巨大タワーに困惑する地元住民がいるのも事実だ。
元々、押上駅付近は町工場や、レトロな商店、食堂がひっそりと営業する下町だった。今でも、ツリーから少し歩くと、大衆食堂や八百屋、スナックなどが並んでいる。高齢者が多く住む、昭和の匂いが色濃く残った町だ。
「まったく人通りのなかった道が大渋滞になって、週末は家から車を出すのも一苦労なのよ」(近所に住む60代の女性)
「知り合いの不動産屋が経営しているコインパーキングでオシッコする人がいて、アンモニア臭いんだって。この辺、トイレが少ないから」(創業36年の骨董品屋の店主)
天候に関する不安も絶えないようだ。
「風の強い日はツリーがビュービュー鳴って不気味。大人でさえ不安を感じるぐらいだから、子どもは怖いだろうねえ」(40代の飲食店店主)
もう少し地元の人の話を聞きたくて、駅近くのスナックに寄った。
たばこを片手に、芋焼酎の水割りを豪快に飲みながら盛り上がるママは、今年60歳。
「ツリーのプロジェクトは大きすぎて、本当は誰もついていけないのよ。ここらの商店街は、年寄りばっかりだから。活性化、活性化って言っても、どうしていいものやら。足元の東京ソラマチに300軒以上のテナントが入るんでしょ。ツリーがオープンすると、商店街まで観光客は流れてこないんじゃないかなあ」
※週刊朝日 2012年6月1日号